■長万硯の出現硯といえばまず思い浮かべるのが、墨堂と墨池のある長方形のシンプルな形ですが、この硯の形は、作硯技術が飛躍的な進歩をとげた宋代(960〜1279)に現れます。その原型と思われる鳳池硯は、唐代(618〜907)後半より円形硯に代わり台頭してきました。全体が風構えの形で、墨堂は斜め、底は手を差し入れられるようにくり抜かれています。それが次第に方形に近づき、墨堂が平になり、底をくり抜かないようになったものと思われます。
長方形の原型・宋代「鳳字硯」(全体が風構えの形で風字硯ともいう。
硯の裏に手を指し入れるようにくり貫かれた「太子硯」
硯面に池のない最もシンプルな「硯板」
資料提供:芸術新聞社「墨スペシャル26 文房四宝の楽しみ」より
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