■硯の起源西周(前1122〜前770)の墓から長方形の石板調色器が出土しています。顔料を乗せ研磨具ですりつぶすための石板で、硯の前身と思われます。硯の最古の出土は、墨の項目でも触れましたが、秦代の磨石を伴った素朴な石硯です。前漢代(前202〜8)には次第に硯の形が偏平な円形に整えられ、後漢(25〜220)には、彫刻された蓋や三本の足が付いたり、陶製のものが現れたり、かなり人工的な硯になります。墨の需要が高まり固形墨が作られるようになると磨石は姿を消し、それに代わって池が作られるなど、固形墨をすりやすくするための改良が加えられていきます。
安徽省の漢墓より出土した彫刻された蓋と三本足の付いた硯
資料提供:芸術新聞社「墨スペシャル26 文房四宝の楽しみ」より
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