”徽墨”と称されるように、中国では古来、安徽省屯渓市(とんけいし)が主たる墨の生産地です。一般的に唐墨は、古墨に対して良い評価です。墨の寿命が長く、時間とともに墨色に厚みや味わいが出てくるのが特長となっており、古墨の価値が高くなります。四百年前の明代の古墨が、今なお作品用の墨として珍重されているゆえんです。しかし、文化大革命以後、製墨技術が廃れ、現代の唐墨の評価は良くありません。和墨は奈良と鈴鹿が二大産地です。唐墨より墨の寿命が比較的短いと言われますが、昭和40年代以降の和墨は、製墨技術の向上により墨の寿命も長く唐墨以上の製品となっています。現代の唐墨は清時代の製法で、現代の和墨は明時代の製法に近く、膠の配合量が異なっています。墨の伸びやにじみといった、唐墨と和墨の違いは、膠の粘度、膠と煤の配合比率などに違いであると言われます。ただ、古墨は別にして、現在製造されている墨で比較すると、和墨は、品質が高く安定しています。資料提供:芸術新聞社「墨スペシャル26 文房四宝の楽しみ」より
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