■唐墨の変遷漢代の墨の原料は松煙で、宋代までそれが中心でした。
唐代には文人が墨作りに関心を寄せるようになり、墨匠といわれる職人が輩出されました。唐の滅亡後、彼らのほとんどが質のよい松の豊富な欽州(後の徽州、現在の安徽省)に移り住んだことから、名高い「徽墨」の呼称が生まれることになります。
南宋代には松煙墨から油煙墨へと造墨の流れが変わり始め、明代には程君房(ていくんぼう)・方干魯(ほううろ)らの油煙墨の名墨匠が出ました。様々な模様を入れた工芸的な墨が作られるようになったのもこのころです。著名な墨匠の手になる墨は、古墨として現在なお珍重されています。
明代、程君房の油煙墨(百子図)
資料提供:芸術新聞社「墨スペシャル26 文房四宝の楽しみ」より
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