表装、軸・額装について Q:洋紙(マットコート紙)に墨1色でインクジェット出力された、版画のコピーがあるのですが、これを軸装することはできますか。やはり、用紙が和紙でないとだめなのでしょうか。
A:軸は、伸ばして飾り、巻いて収納します。その為、通常は、本紙(作品)の紙は和紙の一層紙又は薄い和紙や画仙紙で書かれた作品を軸装にします。 理由は、厚い紙や硬い洋紙で書かれた作品を軸装しますと、巻いたり伸ばしたりした時、作品の紙の厚さの分だけ、内側の円周と外側の円周が異なる上、紙の厚いものや硬い紙は、裂地と作品の境目に段が出来たり、巻き癖が直らず表面が波打った状態となります。又、軸を巻いて強く締めた時に横皺が出易くなります。 それ故、和紙でも厚口や二層紙に書かれた作品は、軸装仕立てする事はあまりありません。稀に、二層紙の和紙で書かれた作品を軸装仕立てする場合は、二層紙を二枚に剥がしして表面の作品を軸装仕立て致します。 ------------------------------------------------------------------- 墨一色でインクジェット出力された版画との事ですが、この版画のインクジェット用インクは顔料インクでしょうか? 水溶性の染料で出力されたお作品の場合は、通常の裏打ちを施しますとインクが滲みます。この様は状態を、書道では、「墨が泣く」と言います。 裏打ち作業は、作品の裏から霧吹きで水を塗布し、作品の皺を伸ばし、裏面に糊を塗って薄紙を貼り付け乾かします。 水の使用を最小限にして裏打ちする別の方法としては、ドライマウンティングと言う方法もありますが、マットコート紙に、折り目とか皺が入っていない状態であれば裏打ちは不要かも知れません。 ------------------------------------------------------------------- 結論と致しまして、お手持ちのお作品は、洋紙(マットコート紙)であると言う事と、インクジェット出力されている事を考えますと、軸装加工には不向きであると判断します。表装をされて飾られる事をご希望でしたら、額装またはパネル貼りにされる事をお勧めします。以前、ニューヨークの夜景写真をインクジェットで出力された作品をパネル貼り(裂地マットにベタ貼りをし、表面に透明アクリル板をはめて仕立てました)をさせて頂いた事があります。結構良い仕上がりでした。 ご一考の程お願い申し上げます。 |