使用後の筆は洗った方が良い! 固形墨であれ、液体墨であれ、筆は洗わなければいけません。膠の乾燥皮膜は固くて割れ易いものですから、筆の毛に墨が固着しますと、毛が折れ易くなります。特に夏場は筆についた細菌が磨墨液の中に混入し爆発的に繁殖する危険があります。膠を原料とした液体墨では塩分を多量に使用していますので常に湿気の多い状態になり、毛の脱脂、軸の膨張、抜け毛の多発の原因になります。筆の後ろに紐がついているのは使用後きれいに洗って、よく乾燥して下さいと言うことです。洗わないより洗った方が何倍も筆の寿命が延び、手になじんだ筆は毛先を使い切っても捨てられないほど愛着がでて参ります。
<根元までおろした筆の洗い方> 筆が吸い取れる水の量(2〜3cc)を硯に入れ、硯全体を筆で柔らかく洗い、紙に吸い取らせます。この作業を6回繰り替えしますと濃さは1/64となり、硯にも筆にも炭素や膠・合成樹脂の残りはわずかになります。その後コップ半分程度の水で先に筆を振り洗いし、残り水で硯を洗いますと完了です。後は良く水切りし乾燥させることです。牛乳ビン半分程度の水で完了し廃液も少なく、腰砕けも無くそれ以上に10倍も20倍も筆の寿命が延びるのです。それだけではありません、この間に逆毛等も抜け、筆が練れてくると言うのでしょうか、新筆では味わえない手になじんだ手放すことのできない道具になります。時問も10分程度で終わり、毎回気持ちの良い硯と筆を使えるのですから精神面でも良いはずです。
<根元を固めた小筆(細筆)や大筆(太筆)の洗い方> 筆に墨が残らないよう穂先に水をつけて、紙の上で毛筋をまっすぐにしてぬぐいます。この作業を数回繰り返しますと墨は殆ど無くなります。乾かす時は穂首を下にして陰干しをして下さい。 |