出来るだけ、おわかり頂ける様にと思って説明致しましたが、不充分の点も多々あると思います。
講習会の会場等で割れる筆の手入れをする時、そばで見て居られて、「そんなにしても大丈夫ですか」、「首はとれませんか」、「毛はいたみませんか」、と聞かれますが、心配ありません。
しかし、黒い汁がでなくなっても更に続けると、毛を傷めます。筆を洗われる時、大切にする気持が働き過ぎて、逆に筆を使いにくい状態にもっていく結果になって居るようです。筆を洗う時、割れる原因を作らない様に指を当てる位置に気を付けて頂くことが一番大切です。
水道の水を流し乍ら、その水でただ墨を流し落として吊すだけでも、充分とは云えません。紙に包んで押さえて水気を充分取る必要があります。気を付けて手入れをし、いつも書き易い状態ですと更に愛着が湧いて、書く楽しみも増してくるでしよう。 書き易い筆だからと、書き終わったあと、そのまま、又は、水洗いした筆を、先が傷まない様にと思ってキャップをかぶせ、永く置くのはよくありません。気温の高い夏季においては四日間位で悪臭がするようになります。
毛筋の細い柔らかい上質の羊毛筆は使い始めに、青墨を充分含ませて頂くと青墨の色素が毛を保護するといわれて居ります。 その他にもいろいろあると思いますが一度試して見て下さい。
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