表装について Q.御社額装で製作対象とされているものは「書画」限定でしょうか? たとえば「歌舞伎の押隈」を取り扱われたことはありますか? 作品の材質は絵絹です。 押隈にしてから数ケ月間乾かしておりましたが、 それでも、化粧が厚めに乗っている部分はまだ若干柔らかいく らいです。 A.当社の表装は書画限定です。 書画用の墨や日本画用絵具には、もともと裏打ち・表装を前提に製造されていますので、膠や糊剤(紙等の繊維に浸透させ絡み付く効果と薄い皮膜を作る効果)を配合されています。書画用の表装は、紙や絵絹に書かれた又は描かれた作品を良く乾燥させた後、紙や絵絹の裏に水を霧状にかけ刷毛で皺等を伸ばし、裏面に薄い和紙を薄い澱粉糊で貼り付け(裏打ち作業)てから軸や額に仕立てます。この裏打ち作業の折、この膠や糊剤が、墨や絵の具の散り(「泣く」とも言います)を抑えます。 墨や日本画用絵具で「押隈」を描かれた物でしたら、表装はできますが、今般、「絵絹に押隈」は、歌舞伎役者の顔から直接取られたとの事ですので、化粧品となります。化粧品は、本来、顔等に塗られるもので、膠や糊剤は入っていないと思います。数ヶ月保存されていても未だ乾燥していないとの事ですので、多分、油性の溶剤が使用されていると思います。 それ故、上記にて述べました様に、書画用表装は「水」を使いますので、書画等の表装技法ではご期待にお答え致しかねます。勿論、今まで「絵絹に押隈」の表装は、行った事はありません。 ※化粧品の素材は知りませんが、長期保存や紫外線での色褪せ等も考えられます。 私感ですが、どうしても表装を・・・・とお思いでしたら、油絵の額装方法(木枠にキャンバス生地を貼り付ける)なら可能と思いますので、お近くの画材店で相談される事をお勧めします。 お役に立てずに申し訳ありません。 |