Q.青墨は表具すると散るのはなぜですか。A.青墨の煤は茶系の煤に比べ、その粒子の大きさは10〜100倍近く大きな物です。そのために濃く使いますと、粒子は紙の繊維の中に浸透せず、紙の表面に乗っている状態になります。固形墨も液体墨も水溶性で、水の中で良く煤が分散できるように造られています。表具するためには、微粒子に分散された煤が紙に良く浸透し、紙の繊維に絡み付き固定されなければなりません。茶系の細かい煤を使った墨でも、造りが悪くて粒子が凝集して分散していたり、宿墨を使った場合には、煤が紙に浸透せず表具時に散ることがあります。青墨の濃い場合は、大きな粒子がさらに凝集して分散していて汚く見えるものです。青墨は淡墨でのみ表具できるとお考えください。青墨はできるだけ鋒鋩の細かい硯をお使いになり、より細かく磨り下ろして戴きますと、表具できる濃さも高くなりますし淡墨における透明感も増します。
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