Q.古くなってカスカスの墨を使う方法はありますか。
墨に混ぜる(膠液、棒膠もあります)
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A.墨がカスカスになるのは、膠分が加水分解により炭酸ガスと水になり空気中に放出されたためです。その間に煤はどんどん凝集していますので、磨りましても水の中で分散することはできません。色調も膠気が無くなっていますので、濃墨の場合は艶のない絵の具の黒のような吸収色になります。実はこの墨が日本画で人物の頭髪を書く時に必要なのです。膠気の抜けた墨は簡単に見つかりませんので、普通は墨に胡粉を加え墨の艶を消して使うのですが、やはり白っぽさは目につきます。カスカスの墨に少し膠を足して使いますと思わぬ効果が期待できます。書に使う場合は水に日本画用の膠液を少し混ぜ、この薄い膠液で磨墨して淡墨で書きますと、筆跡には古墨の凝集が見られ、滲みは透明感のある明るいものになりますので、立体感のある思わぬ表現ができることがあります。鋒鋩の細かい硯を使い、力を入れないでトロトロになるまで濃く磨り下ろしてから希釈するのが大切です。水温も20℃以上あることが必要です。膠液の濃さはその古墨が持つ膠の残量とも関係しますので、色々お試し下さい。