Q.温度で変わる粘さは、固形墨と液体墨では違いますか。
A.温度で変わる粘さの変化は、膠や合成糊剤の種類や使用量で変わります。固形墨と液体墨の根本的な違いは、膠の持つ特徴であります18℃以下ではゼリー化して固まる性質にあります。この現象をゲル化すると言います。
水温が18℃以下になりますと極端に粘度増加を起こし、温度が下がるに従ってプリン状に固まってしまいます。冬場の様に水温が低い場合は、硯で磨りましても粒子が硯の鋒鋩で削り落とされた瞬間にゲル化してしまい良好な発墨は望めません。この膠のゲル化を塩分などで止めたり、ゲル化の無い合成糊剤を使用しますと低温による粘度増加はありますが、流動性を失うことはありません。
冬場、野外や寒い室内でのご使用は液体墨の方が適しています。
固形墨の上手な使い方は室温、水温共に20℃以上にして硯も温め、この条件下でお使いになることです。墨自体の保存から見ますと気温10〜18℃が最も適していますが、お使いになる時は20℃以上でお使い下さい。
※特に冬場は、硯用保温シートのご利用をお勧めします。