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墨運堂「墨のQ&Aより」Vol.35

Q.固形墨を磨った後、どれくらいが一番良い状態ですか。
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硯の鋒鋩の粗密、水温にも大きく作用されますので一概には言えません。
細かく磨り下ろした場合はさほど増粘しませんが、粗く磨りおろした場合は時間と共に粗い粒子が水中で溶解して増粘します。
勿論墨造りも大きく関係します。
一般的に言えることは、水温が20℃以上であれば膠の溶解が早いので均一に分散する時間はさほど要りませんが、水温が低いと膠の持つ低温でゲル化するという性質のため、均一にならないばかりか、磨り下ろしの際に固まる場合すらあります。
良い分散液を造るためには硯も水も20℃以上が必要なのです。
冬場はお湯をお使いになることをお勧めします。
室温が20℃以下であれば40〜50℃のお湯を硯に注いで磨って戴きますと良く分散致します。
分散状態を知るためには淡墨にして筆跡の濁りを見て下さい。
練りの悪い墨や、膠の力の落ちた古墨は墨自体の問題ですので時間をおいても分散の改良にはなりません。
淡墨に透明感が感じられたらきれいに分散しています。
ご注意戴きたいのは時間をおけばおくほど良いと言うものではありません。
夏場などに長い時間をおきますと、加水分解により膠の力が急激に無くなり粒子の凝集が始まると宿墨状態になりますし、腐敗の心配もでて参ります。
宿墨の面白みを求められる場合は別ですが、磨墨液は磨ったその日中にお使いになるのがベターです。

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