Q.油煙墨と松煙墨では硯を代えた方が良いのですか。A.松煙墨でも油煙墨に近い粒子の細かい煤を使った物がありますが、大変高価で現在は手に入れることは難しくなりました。現在手に入る松煙墨の粒子は油煙墨の粒子より粗く、油煙墨に比べ色調も吸収色です。また粒子は単体で分散するのではなく凝集体で分散しますので、細かい鋒鋩の硯で磨る方がよりきれいになります。作品制作上での効果を考えますと一概には言えませんが、固形墨の分散液は硯の鋒鋩が作り出す分散液でもありますので、松煙墨にはより細かい鋒鋩の硯が良く、淡墨時の透明感も冴えると思います。作品の効果として少し距離を置いて見る大作の場合は、松煙墨の吸収色を利用して、少し粗目の硯をお使いになるのも面白いかと思います。
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