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last update 2013/05/22 10:16
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墨運堂「墨のQ&Aより」Vol.14

.筆の締まりの良い墨と悪い墨がありますがどうしてですか。

墨は「煤と膠」を練り合わせ、固めて乾かしたもので、製法的には殆ど完成されています。
筆のバランスのとれた締まり具合いは、平均的な配合から申しますと、練りと均一な膠の溶解技術に原因があります。
複数の性質の違う膠を、如何に均一に溶解するかが墨造りの最も大切なことなのです。
見かけの溶解と真の溶解には大きな差が出て参ります。
言葉で表現することは難しいのですが、どぼどぼした溶解液と油のように滑らかな流れの良い溶解液とでは、煤と練り合わせる時に影響を与えます。
締まりの悪い墨は、暢びや紙への浸透性も悪く、淡墨の時には濁りが出て参ります。
膠の溶解が不均一で、煤との練りに手抜きがありますと最悪の墨となります。
ただ原料の膠、煤とも毎回同じ品質とは言い切れませんので、締まり具合いに微妙な誤差がでて参ります。
墨造りに従事する私達にとりまして、最も神経を使う点がご質問の点であります。
筆の締まり具合のバランスは、お使いになる皆様のお好みにもよりますが、締まり過ぎると筆さばきに難がでて参ります。
出来の良い墨は、新墨のうちは締まりが強いものですから筆さばきに重さを感じますが、製造後3〜5年経過してお使い戴ければ、この重さも消え使い易くなります。
この原因は墨造りに必要な膠の量と書く時に必要な膠の量に差があり、造るための量が少し多いことに起因します。
この時の新墨は、20%近くの水分を内蔵しておりまして、3〜5年の間に加水分解により余分の膠が分解して、書く時に適した膠量になるためです。
詳しいことは墨運堂「墨のQ&Aより」Vol.18 「墨の枯れ」
にて説明します。


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