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墨運堂「墨のQ&Aより」Vol.4

電子顕微鏡でみた煤の世界

Q.油煙墨と松煙墨の違いを教えて下さい。

焚き方による煤の違いからお話し致します。昔のお灯明、お寺などでご覧になったことがあるかと思いますが、素焼きの皿に種油を入れ、イ草の芯を浸して火をつけ明かりとします。
油煙焚きの方法は、そのお灯明の炎の先から10cm程離してお皿(釜)をかぶせ、そのお皿に煤を集めて一定時間後掃き採ります。
「手焚き油煙」は、小部屋にこのお灯明を沢山置き、注油、お皿の回転、採煙を繰り返し採取します。
この方法を「芯焚き法」と言います。機械焚きの場合も原理は同じです。この焚き方をしますと、炎の先から近い所で煤を集めるものですから煤に高温が加わり、焼き締めたような煤になります。煤の粒子の大きさは、芯の太さで加減します。
細い芯で焚けば、粒子の細かい煤になりますし、太い芯で焚けば、炎も大きく粒子の大きい煤を採ることができます。
油煙は菜種・桐・胡麻など植物性油や重油・軽油・灯油など鉱物性油から、この芯焚き法で採ることができます。鉱物性油の場合は、燃焼温度も高くより固い煤になります。
現在は環境問題のこともあり、集塵の難しい芯焚き法は植物性油のみで鉱物性油は採っておりません。芯焚き油煙は、固く焼き締められた均一な大きさの粒子です。
一方松煙採りは、障子などで隔離された比較的大きな空間で空気の流通を少なくし、松材を直接不完全燃焼させて煤を採る方法で、油煙のように煤自体に高温はかかりませんから、柔らかく凝集した粒子の煤になります。
この方法を「直火焚き法」と呼んでいます。焚き方には、油煙タイプ採りの「芯焚き法」と、松煙タイプ採りの「直火焚き法」があり、液体原料は芯焚きが、固形原料は直火焚きが適しています。
直火焚き法でも炎の大きさを加減することにより、細かい粒子から大きな粒子まで採り分けることができますが、芯焚き程粒子の大きさの揃った煤を採るためには、さらに分粒装置が必要になります。
植物性松煙は赤松の表皮を削り取り、その後に刃物目を入れ、暫く放置しておくと松脂が吹き出します。それを削り取り、乾燥させた後、細い棒状に小割りして樟子張りの部屋の中で直火焚き法で採取します。
小割りした松材をさらに細くし、空気の流入を抑え小さな炎で採煙しますと、細かい赤みの美しい煤が採取できますが、炎のコントロールが難しく、収量も極端に少なくなりますので大変高価な物になります。
この直火焚き法では、採煙部屋も大きく、炎の調節ができませんので、小さな粒子から大きな粒子まで、混然一体に混じった柔らかく凝集した煤になります。
 松煙は細かい粒子だけの時は赤系に、少し大きな粒子が混じり始めると茶系に、さらに大きな粒子が増えると紫紺色に、ほとんど大きな粒子になりますと青系になるとお考え下さい。
油煙タイプの煤は、焼き締められていますから、煤自体凝集するのが遅いのですが、松煙タイプの煤は、あまり高温がかかっておりませんので、細かい粒子が凝集して大きな固まりになり、年月と共に青系に変化していくと考えています。
また松材を燃やすため、松が地中から吸い上げた硫黄分など雑多な物質を含んでいます。これらが膠を変質させ膠の分解を早め、より煤の凝集を早めています。
 古来、油煙墨に比べ松煙墨の寿命が短く、そして青墨化していくのはこのためと考えられていますが、私達にもまだまだ解らないことが沢山あり、これがまた変化の多い松煙墨の魅力でもあります。
現在製造しております青墨は、赤松を直火焚きで大きな粒子で採煙したもので、茶系の粒子の10倍から100倍近くの大きさになります。現在では、この直火焚き法が進歩し、限定空間で焚けるようになりました。
また、集塵装置も良くなり、炎の調節・分粒も可能で、多量生産致します工業煙の主流設備となりました。本来、液体原料は芯焚き、固形原料は直火焚きとなっておりましたが、液体原料も直火焚きで燃やせるようになりました。
菜種油を直火焚きで燃やしますと、焼き締められない柔らかな凝集体の煤になります。


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